
桶狭間戦棋
桶狭間の戦いを再現した歴史シミュレーションゲーム
『桶狭間戦棋』は戦国時代真っ只中の1560年5月19日に行われた、織田信長対今川義元の戦いを再現した歴史ウォー・シミュレーションゲームで、2022年に発表しました。プレイ人数は2人、駒数48個で、プレイ時間は60〜90分。プレイヤーは織田信長、または今川義元の立場となり、勝利を目指します。
ゲームは今や定説となっている正面攻撃説にもとづく内容となっています。が、『桶狭間戦棋』では9Joeの独自見解による状況設定と作戦的オプションが使用可能になっています。地図も地形などできる限り正確に仕上げましたので、ゲームで様々な思考実験が楽しめるでしょう。
ゲームがどのような考え方にもとづいて作られているかは、付属のデザイナーズノートに詳しく記載しています。構成は以下の通りです。
●はじめに
●第1章:各説の概要
●第2章:新見解
●第3章:実証実験
●さいごに
デザイナーズノートの「はじめに」の内容は次のとおりです。
★デザイナーズノート「実験・桶狭間の戦い」★
●はじめに
「桶狭間の戦い」は、戦国時代、織田信長が今川義元に勝って天下に躍り出るきっかけとなった出来事として、学校の教科書にも載っている程の有名な合戦です。
戦力で圧倒的に不利な信長が、奇襲によって義元を討って勝利したと言われてきました。
しかし1980年以降、この通説が疑問視されるようになっていきます。そのきっかけを作ったのは、歴史研究家の藤本正行氏による研究成果の発表でした。
藤本氏はその研究の中で「桶狭間合戦については、信長が迂回による奇襲で勝利を得たと、長い間、信じられてきた。(中略)ところが、『信長公記』という信頼すべき史料には、信長が義元を正面攻撃で破ったと明記されている」(『信長の戦争』より抜粋)と指摘したのです。
藤本氏の研究は「正面攻撃説」として、その後、桶狭間研究の新たな定説になりました。しかし同時に、正面から戦ったのならば、なぜ数の劣勢を覆すことができたのか、という新たな謎も生まれました。
その後数十年にわたり、歴史研究家などによって新たな解釈や新説がいくつも発表されてきましたが、未だに決定打と呼べるものはありません。しかし言い換えるならば、それだけ議論も尽きない、人をひきつけてやまない歴史のミステリーなのだとも言えるでしょう。
そのミステリーに、歴史研究家とはまた違う、シミュレーションという方向性からの新たなアプローチで謎に迫ろうというのが、ゲーム『桶狭間戦棋』の制作意図になります。このデザイナーズノートでは、まずはそれらの諸説の概要に触れ、次に私の見解を述べ、最後にシミュレーションゲーム的に分析するという構成で、デザインの意図をお伝えしたいと思います。
2022年2月6日公開
(ここまで。続きは製品のデザイナーズノートを御覧ください)。
お知らせ(2025年9月23日)
『桶狭間戦棋』は同人ゲームでしたが、このたび歴史ボードゲーム雑誌『歴ボド』にて商品化されることとなりました。これもゲームを高く評価してくださった皆様のおかげかと思います。改めて感謝を申し上げます。
同人版では、コマもマップも家庭用プリンターでの印刷でした。またコマもシールに印刷したものを厚紙に貼ってカッターで切断して作っていました。そのため、コンポーネントの面ではどうしても耐久性などの点で脆弱でした。しかし歴ボド版ではそれらの問題が改善されると思いますので、同人ゲームということで品質の面で危惧されていた方にも、この機会に手に取ってもらえると良いなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。